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広島の気候風土にあう家づくり

広島市の気候風土は瀬戸内の温暖な地域で住みやすい気候だと思っておられる方が多いと思いまが実際はどうでしょうか。1月2月と3月中旬までは結構寒くて、7月8月9月は長期間相当暑い思いをされているのではないかと思います。

広島の気候風土を知る

以前全国の平均温度・湿度を調査した時に解りましたが札幌の真冬の平均気温は温暖化の影響もあるのか現在-2度ぐらいで真夏は23度ぐらいでした。冬は寒いけれど湿度も低い夏にはエアコンは殆ど必要ありません。札幌では冬を旨にした性能の住宅を考えれば一年を通して快適に暮らせるでしょう。

鹿児島の枕崎では真冬の平均気温は10度ぐらいで夏は広島市と同じ様に28度ぐらいで湿度も同じ位でした。日射量は広島より多く風の吹く日も多い鹿児島で建設される家は日射を調整し風向きを考慮した夏を旨にした住宅の性能が必要で冬の寒さ対策は広島市ほど必要ないといえるでしょう。

全国の都市の平均気温・平均湿度・風の有無・日射量を比較すると住みやすさがわかります。詳しくは気象庁のデーターで比較されればよくわかると思います。

以下は広島市の2007年の1月と8月の平均温度・湿度です

1月の平均気温は約6.2度平均湿度約67%

8月の平均気温は約28.8度 平均湿度約68%

広島市では夏むし暑く夕方の一番暑いときに風の吹かない凪ぎの日も多く湿度も高く札幌の人が夏広島に旅行に来られると暑さと湿度の高さに驚かれると思います。冬は皆様が毎年体験されるように相当に寒いです。私の北海道に住む大学時代の友人は出張で広島に来た時広島の人はこんな寒い家によく我慢して住んでいるねと不思議そうに言ったことが今も印象に残っています。広島市で年中心地よく暮らすには夏にも冬にも適応する住宅の性能が求められると私たちは考えています。

広島市に住んでいる方はその気候風土に慣れて暑いのも寒いのも当たり前に思うようになりますが。北海道で建設される寒さの対策のされた家では冬は心地よい暮らしが可能で鹿児島では日射遮蔽や風向きなどの暑さ対策のされた家では夏に心地よい暮らしが可能になっています。

我々の住む広島市は瀬戸内海の温暖な地域で住みやすいと思われている方も多いと思いますが広島市は意外に冬の寒さや夏の暑さを客観的に全国の都市と比較すると過酷な気象条件の地域と言えるでしょう。

真夏の屋根上の温度は60度を超えています。高価なマンションの最上階に住む人が夏に我慢のできない位暑いといわれるのは、その60度以上に熱せられたコンクリートからのふく射熱が天井裏を通して室内に侵入しているからです。天井面のふく射熱が強いと頭上を暑くするため人には耐えがたい過酷な暑さになります。

広島で地下熱・地中熱の利用

広島では地下室は夏には冷たい熱を供給してくれて冬は安定した温度の蓄熱層としての役割をしてくれます。地中の温度が安定している事は地中熱ヒートポンプを併用して暖房をして地中の熱を地下部分のコンクリートにある程度蓄熱することも可能です。地中の熱は安定していますが取り出す為のイニシャルコストがかかります。冬にマイナス温度にまでならない広島では地中熱を利用するより高断熱プラスCO2エアコン(普通のヒートポンプエアコン)を使う方が費用対効果・効率ともまさるといえます。

夏場には地下室は冷房が利いている位冷たくなります。そのわずかな熱利用は断熱性能を上げるほど効果が高くなります。

私たちが考える広島での心地よい暮らしを可能にする家の性能

【夏編】

夏の60度以上にもなる屋根の熱をいかに生活の温度まで下げるかが重要です。私たちは空気の層や断熱を工夫することでほぼ生活温度まで天井下の温度を下げることが可能になりました。屋根は北海道よりも高性能な遮熱・断熱を組み合わせふく射熱カットさせ若干でも頭上が涼しく感じるぐらいの性能が大切です。

夏の室内は外からの熱をカットしても室内で発生する冷蔵庫・電子レンジなどの調理器具・テテレビ・照明器具・人間の熱(一人で60Wの照明と同じぐらいの熱量を出します)最近の大型テレビは今までのテレビよりは省エネ家電ですが画面の温度は40度を超えています。大きなテレビを購入すれば夏にテレビがヒーターになり室内は暑くなることを知っておく必要があるでしょう。

その様に生活をするうえで発生する生活熱熱を室外に追いやる工夫がなされて初めて夏対策のされた家が可能になります。

夏の広島市では無風の凪ぎと高い湿度を低く抑える工夫も必要です。技術的にはいろいろ方法を合わせて行いますが、当社のオリジナルの考えがありますのでここでの詳しい説明は控えさせていただきます。

【冬編】

冬は省エネルギーを追及すると現在北海道で建てられているような熱損失係数が1になるQ1住宅を建設すれば8~10帖用のエアコン一台で家中の暖房はまかなえるようになると思います。家族の多いお住いでは人の体温やテレビや照明器具などの家電から発生する熱が暖房代わりになり又窓からの太陽光の熱を室内に取りいれて殆ど暖房機なしで冬に快適に暮らしていただくことも可能だと考えています。

また太陽光発電を併用すればイニシャルコストはかかりますが電気などの光熱費が全くかからないどころか逆に電力会社から余剰電力を売電するほうが多くなる事も可能になります。

全国民が電気料金を負担するようになりますが、国はCO2削減のため太陽光発電の買い取り価格を来年から現行の2倍にするようです。太陽光発電設置の予算の許す方はCO2削減と投資として太陽光発電を考えてみてもよいと思います。

北海道で建てられている高性能なQ1住宅が広島でも必要かと私は自問自答するのですが、夏も冬も省エネを追求するならQ1住宅がいいと思います。実際北海道で建設されているQ値1.2程度の住宅仕様の建築コストは広島で建設しても住宅設備等を贅沢な仕様にされず一般的な高さ450程度の基礎断熱工法であれば坪単価55万円位で可能かと考えています。40坪で2200万円(税抜き)位を参考にしていただけるといいでしょう。

ただし私が今まで建設をさせていただいたお客様のところへ夏冬訪問させていただいた上では熱交換換気のない場合でQ値1.9 熱交換換気を施してQ値1.6位から一年中の快適性が確保できています。当然熱交換換気を取り付けないQ値1.9の住宅と熱交換換気を施してQ値1.6の住宅では前者の暖房のエネルギーは大きくなりますが実際は十分快適な生活はされています。

熱交換換気を取り付けた場合と第3種換気での冬の暖房光熱費の差は5000~8000円/月程度だと考えています。熱交換換気を取り付けると光熱費は下がりますが、換気フィルターの掃除など定期的なメンテナンスが必要になります。

熱交換換気は10年後には換気の機械が壊れる事も想定して故障の可能性の大きいモーターなどが壊れた時、部分的な修理可能か、取り替えの時には安価に取り換えられ手間も少なくなるように施工も考えておかなければなりません。
どんなに優秀な熱交換換気を取り付けても10年後に取り換えの費用が多額にかかるようでは家計の負担が大きすぎます。電気設備器具は壊れることを考えておかないといけない重要な部分です。

Q1住宅を私が進める理由は暖房・冷房のエネルギーが大きく削減でき機械に殆ど頼らない冷暖房が可能だということと、そのことで住み心地が良くなるということです。

住宅はストック型で住み継がれて行く時代になるでしょう

日本の20世紀の今までの住宅「造っては壊す」フロー消費型社会から、「いいものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使う」ストック型社会への転換が急務だと考え国は新しく長期優良住宅の普及促進に関する法律をつくりました。

「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成20年12月5日に制定・公布され、平成21年6月4日に施工されることとなりました。

やっと国が今までの住宅政策に問題があった事を改め、急に方向を変えて住宅をストック型の性能の良い住宅に変えましょうとした動きです。その性能がアップされる建設費の一部の百万円を補助しますとの政策です。

もう少し早くに国がストック型の建設の考えになってくれれば建築の事のわからない一般の消費者の方に無駄使いをさせず快適に暮らせていたと私は思います。それでもこれからの住宅建設はマンションを含めて性能がよくて長持ちしてそのうえCO2を削減できる住宅に変わっていくのだと思います。

住宅先進国といわれるスウェーデンの無暖房住宅から考える広島の家

私が2006年にスウェーデンに室蘭工業大学の鎌田先生を中心にした新住協の本州の会員と同行して北欧の住宅の研究視察に行き日本とは違う住宅の考え方や建築工法に共鳴しました。

スウェーデンでは徹底した省エネルギーを追求した結果冬-20度にもなる外気温の時でも暖房器もなく人間の体温や照明やテレビ等の家電や料理の熱を利用して温かく暮らせる事が可能な無暖房住宅を体験する事が出来ました。その完成された無暖房住宅では冬の室内でパーティーをした時など人が多いと暖房機もないのに暑くなりすぎるオバーヒートの状況を起こしてしますそうで、そのオーバーヒート対策までされていました。

夏暑く、冬寒い広島でスウェーデンに建つ無暖房で暮らせる発想の家を建てると寒い冬当然暖房器具は不要になりますが、スウェーデンとは異なる湿度が高くむし暑い夏にはどうかと色々な角度から考察する必要があります。

スウェーデンの寒い冬に無暖房で暮らす発想が出来るなら広島の暑い夏に無冷房で暮らせる家も出来ないのかと考えるようになり、それからさまざまの工夫を経て現在はまだ全く冷房用のエアコンのいらない住宅が完成したわけではありませんが、冷房期間の短く冷房消費エネルギーの少ない家が出来るように進化させていただいています。

最近では夏の夜に気持ちよくぐっすり眠れて、それも年中同じお蒲団で寝ていただけるような心地よい家が造れるようになっています。高陽町に完成した新築住宅に私が8月に宿泊体験させて頂いたときは早朝の放射冷却の冷たさが室内に入り、驚くような冷たさを体験させていただきました。

広島の夏対策

当社では新築もリフォーム工事も手がけています。リフォームでは夏暑くて2階で眠れない。子供の受験がもうすぐだが2階の子供部屋が暑くて勉強できない。2所帯住宅の若夫婦が暮らす2階は15年間夏の暑さを耐えて暮らしたがなんとか涼しくしてほしい。エアコン冷房嫌いなお母さんになんとか冷房なしで過ごせるように改善をしてほしい等の相談を受けて夏対策のリフォームをする事が多くなってきています。

夏対策の工事では窓の日射調整 室内にたまる生活熱の排熱 室内の通風 除湿機能 壁・屋根の遮熱と断熱などを組み合せて行います。そのリフォームで培った夏対策の技術とスウェーデンの無暖房住宅に見られるような徹底した断熱を組み合せると相当に効果的な夏対策が出来ることが解りました。

広島では夏の屋根上の温度は60度を超えます。快適に生活するためには室内の室温度を27度ぐらいに保つことや湿度を50%位に抑える事が必要だと考えています。その27度の室内温度をエアコン冷房なしで湿度も抑えて無冷房で可能にすることが出来るかどうかがこれからの課題だと考えています。

広島県でも県北地域であれば現在でも可能だと考えていますが湿気の多い広島市では空気の環境が悪いことで少し難しい状況ですが窓を閉めての生活を考えると家全体で1台の小さな容量のエアコンでまかなえるように断熱性能をアップさせる考えが出てきます。

当社では熱交換換気を入れて熱損失係数Q値1.6を目指した建物が多いのですがそれを広島で無暖房住宅に近いQ値1の住宅を考えています。専門的には断熱のプロの先生でも広島でQ値1は必要ないと考える人が大多数だと思いますが省エネとエコと心地よい暮らしを追求すれば広島市で冬寒い時暖房器具もなく夏暑い時も、ほとんど冷房器具のいらない住まいが出来る可能性はあると思います。

当然建築コストはアップしますが、エコや省エネや暮らしの快適性を追求するなら広島でQ1住宅も選択肢の一つではないかと思います。

カオル建設では通常のお問い合わせから見学・図書館のご案内、メール診断など受け付けておりますのでお気軽にご利用ください。